『チワワちゃん』
Netflixで視聴しました。 本作の特徴は
・キラキラとした青春の発露と、謎の存在感を見せる少女
・浅野忠信の怪演
・明確なオチや話の結末は無く、その点はやや肩透かし
それでは、概要とあらすじをどうぞ!
『チワワちゃん』の概要
本作は『ヘルタースケルター』や『リバーズ・エッジ』などで知られる岡崎京子の短編を映画化した作品です。
監督は『とんかつDJアゲ太郎』の映画やディーンフジオカのMVなどを手掛けている二宮健。
主演のミキ役には『麒麟が来る』や『まれ』などのNHK作品に出演、『さよならくちびる』ではギターデュオ役も努め、新たな世界を見せた門脇麦、
物語のキーパーソンとなるチワワ役には『心が叫びたがっているんだ』でデビューした気鋭の俳優吉田志織を配役。
そのほかにも成田凌や栗山千明、浅野忠信といった実力派が脇を固める配役となっています。
製作は『ザ・ファブル』『東京喰種』などの漫画作品の実写化を多く手掛けているギークサイト。ここも最近よく見る名前ですね。
Netflixへのリンクはこちらからどうぞ。
『チワワちゃん』のあらすじ
起
日々の生活に倦怠感を感じていたミキとチワワは東京のクラブで知り合った。
ミキのグループは日々集まりながらも、金の無さからどこにも行けない日々を過ごしていたが、チワワがある日取った突飛な行動によって大金を獲得。
ミキ達はその大金を数日間で使い果たすほどの豪遊をするが、ミキはチワワに対して嫉妬とも付かぬ感情を抱いていく。
その際にミキとチワワはチワワの彼氏であり、ミキが憧れていたヨシダが別の女に手を出している場面を目撃。
二人は互いを慰め合うようにプールでじゃれ合いながら、唇を重ね合う。
承
その後、グループは自然消滅。その後チワワの殺人事件が発生。
ミキは雑誌記者のインタビューなども切っ掛けとして、チワワの足取りを追ってグループの仲間たちにチワワの事を聞き出すように。
転
そこで聞く事が出来たのは、ミキの知らないチワワの実像だった。
意外と家庭料理が上手く、ヨシダを楽しませていたチワワ。
ヨシダと別れた後にミキの影響で足を踏み入れたモデルの世界で活躍する中、中年カメラマンに弄ばれるチワワ。
家もなくグループの仲間たちの家を転々としているチワワ。
仲間の一人と爛れた性生活を送るチワワ。
10万単位の金を仲間に無心するチワワ。
結
最後にヨシダの元を訪れるミキだったが、そこで彼はチワワの死などどうでもいいと言わんばかりの態度を取る。
困惑するミキを押し倒し、無理やり彼女を抱くヨシダ。しかし彼に対して失望したのか無関心なのか、何の反応も返さないミキの前で行為を終えたヨシダは泣き崩れる。
最後にグループの仲間たちで東京湾のチワワの死体が上がった場所に赴き、チワワに対してビデオメッセージを残す仲間たち。
その場を後にしようと車内から窓の外を眺めるミキの前に、かつてのように走るチワワの幻影が現れて消えていく…
『チワワちゃん』の感想
チワワちゃんの控えめな存在感が印象的
はっきりと目立つような可愛さは無くても、なんだかキラキラと輝いて目立っている。
吉田志織演じるチワワはそんな少女を演じきっています。
そこから比べると、門脇麦演じるミキはあまり目立たない感じ。
時折チワワに対して見せる嫉妬と愛情が入り混じったような演技が印象的でしたが、映画の中心となる人物にしては少し控えめな印象だったかも。
結局、彼女はなんだったのか
物語でミキが追いかけていく生前のチワワちゃんの実像ですが、結局のところ分からずじまい。彼女が殺された事件の真相も、犯人も見つかりませんし、彼女が身を持ち崩した理由なんかも語られることはなく、最後の鍵が得られそうなヨシダは彼女の事を語りません。
というより、終盤である事件が起きて事件自体が忘れられていく事になります。チワワちゃんの殺人事件が気になって最後まで見た人は非常に肩透かしを食うのではないでしょうか。
チワワという少女その物というより、彼女の纏っているキラキラとしたエネルギーとそれが発散されて消えていく過程を描いている映画、青春の終わりを描いているだけ、と解釈するしか無いのでしょう。
構成に?が残る
前半は流行りのキラキラとした音楽と、それに合わせたミュージックビデオのような映像が続きます。
後半はそこから一気に変貌し、ミキがチワワの事を聞いて回る群像劇になるのですが、この落差が結構大きいかも。
どこか鬱屈とした、夢から醒めた後のような色彩の薄い映像が後半は長かったかな。でもラストシーンの東京湾での集合~最後のビデオメッセージはすごく良かったです。
衝撃的な浅野忠信の存在感
後半の途中から中年カメラマン役として登場する浅野忠信ですが、彼の存在感がものすごい。
チワワを騙し、自分の物にした後に明らかに嘘と分かる白々しい愛の言葉を並べ立てた後に、しつこく食い下がるチワワに対して「あんまりうるさいと、君の首根っこ、へし折っちゃうぞ」と顔色一つ変えずに言ってのける浅野忠信……
下手なホラーよりも恐ろしい辺り、演技が凄まじい……
本作はある種の群像劇であり、原作もそれに則っている構成となっているのですが、とにかくサカタを演じる浅野忠信がすべてを食ってしまっている、そんな印象です。
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