Netflixで配信されているデンマークドラマ『はかなき世界』のあらすじ・感想です。
・北欧の民間伝承をモチーフとしたホラー作品
・ハッピーエンドとは言い難いラスト
・どっきり系ではなく、雰囲気で怖がらせるタイプのホラー作品
です、では、作品情報とあらすじをどうぞ!
『はかなき世界』の情報
本作はデンマークのポッドキャストを原作としたホラーミステリー作品です。
全6話、それぞれ45分程度ですので全部まとめても4時間半程度とかなりコンパクトな作品になっています。
製作総指揮は「THE KILLING/キリング」や「THE BRIDGE/ブリッジ」などを手掛けたピヴ・ベルントゥで、製作はベルントゥのスタジオであるApple Tree Productionsが努めています。
このApple Tree Productionsは本作の他にも「Blackwater(原題)」というドラマも製作しているようですね。
『はかなき世界』のキャスト情報
主役であるアストリッド役にはドラマ版『ザ・ミスト』や『ザ・ブリッジ』に出演したダニカ・カーチックが努めています。
また、アストリッドの父デニス役には、『犯罪ジャーナリスト ディクテ』などに出演したラース・ブリグマン、物語の鍵を握る教師ヘンリク役に、『トゥームレイダー』や『ラスト・キングダム』に出演したアレクサンドル・ウィロームなど、実力派が揃ったメンバーとなっています。
『はかなき世界』の評価
IMDbでは6.1、RottenTomatoではTOMATOMETERが100%、ユーザー評価はなしとなっています。
ユーザーのレビューもデンマーク語のものが多く、他の北欧作品と比べて海外人気はほとんどない作品となっているようです。
『はかなき世界』のシーズン2は?
シーズン2の情報ですが、海外メディアにも掲載されていない状況です。
話としても完結しているので、更新は無いのかもしれませんね。
『はかなき世界』のあらすじ
主人公の少女、アストリッドが姉であるイダの高校卒業の記念日に母レネと父デニスが口論しているのを見かける。
結局イダは彼女の友人たちと共に外出してしまうのだが、その後彼女たちが高校卒業生達は3人を残して消え去った事が明らかとなる。
21年後、30歳となったアストリッドは小さなラジオ番組のパーソナリティーを努めていた。
彼女は娘と別居中の夫がいるが、穏やかな生活を送っていた。
だが、ある日彼女のラジオ番組に生存者の一人ヤコブが電話を掛けてきた事で事態は一変。
イダの失踪の事実を知っていると告げた彼の元へと赴くアストリッドだったが、ヤコブの兄から、彼は失踪したままだと告げられる。
その後、父デニスの元へと赴くアストリッド。頑なに過去に触れようとしない彼との会話の過程で、彼女は自身の幼少期に見た奇妙な幻覚を思い出す。
それはこの世のものとは思えない沼のような場所で一人さまよっていると、誰かが呼びかけてくる悪夢だった。その後に彼女は誰かが飛び降りた幻覚を見るが、その直後ヤコブが自殺した事を知る。
過去に縛られ、イダの事を忘れられない母レネの元を訪れたアストリッドはイダの手がかりとして、ヘンリクという教師の名が記された彼女のアルバムを手にする。
ヘンリクを追う過程で、イダが最後に乗っていたトラック運転手の元を訪れる。失踪事件後に何年も昏倒していたという運転手は、動揺する彼がかつてのイダの教師の写真に対して謎のシンボルを記すのを目にした。
ヘンリクと接触する事に成功したアストリッドではあったが、決定的な証拠は掴めない。そのまま調査を打ち切ろうとした所で、ファルケが彼女の元へと現れる。
彼がヒントとして示した21という数字から、真実を読み取るアストリッド。
事件はオスタラと呼ばれる伝承の神によるもので、失踪事件やヤコブの死などはすべて春分、夏至、冬至に起きており、残るは秋分。
それはアストリッド自身の誕生日であった。アストリッド自身も儀式の一部であったのだ。
そして明らかとなったイダの過去。彼女は仲間のアメリア、ファルケ、そしてヤコブと親しくしていたが、彼らは一人が見つけた謎の古文書とそれに記された魔術シンボルを調べ始めた結果、オスタラにたどり着いてしまう。
その結果、彼らはとある島で行われたオスタラを称える祭りに参加し、イダは鹿のような角を持つオスタラと交わり、その子を宿してしまった。
しかし、それは全て最初から定められていた事であった。子を宿せなかったイダの母レネが、オスタラと契約して設けた子供、それがイダであり、彼女は18歳になった時にオスタラに捧げられるという契約であった。
レネは途中で契約を変更し、イダの子を捧げるという契約にしたものの、仲間や信頼していた教師ヘンリクにも裏切られ、失意の中にあったイダはその子を堕胎してしまう。
契約の未遂行にオスタラは怒り、イダを含めた卒業生たちは異世界に連れ去られてしまった。それが誘拐事件の真相である。
真相に近づくアストリッドの元にルーマニアのアメリアから手紙が届き、そこで自身がレネとデニスの本当の子ではない事を聞かされたアストリッドは、ヤコブの残した魔術書を手にする。
そして、全ての真相に気がついた彼女は、元夫や父デニスによる拘束から逃れてオスタラの元へと向かう。そこで待っていたのは、教師ヘンリク。彼こそがオスタラであったのだ。
アストリッドはその後、深い霧が烟る海峡の向こう側から迎えに来たイダに誘われるように、己の真の姿を露わにしたオスタラの元へと赴いていく…
その後、どこかの畑にかつて行方不明になったと思わしき卒業生たちが現れ、エンドロール。
ハッピーエンドとは言い難いラスト
物語としては完全に完結しているのですが、非常に後味が悪い作品となっています。
結局アストリッドは助からず、オスタラの元へと赴いてしまうラスト…
途中、彼女を気遣った元夫や父の事を振り払うようにしているので、更に後味が悪いものに……
あらすじの通り、母親のワガママによって姉妹が振り回された結果、二人が失われてしまうというものですが、その母親も特段報いがあるわけでもないという。
本当の黒幕は…
というより、オスタラが怒るのも仕方ないですよこの母親。
18年後に渡す契約でイダを授かる→やっぱりイダを渡したくないのでその娘を渡す→儀式によってイダとオスタラの子が宿されたのを知っていながら何も告げない→イダが攫われた後は9歳のアストリッドを使ってイダを連れ戻そうとする
この母親、鬼畜そのものです。というかオスタラよりこっちが黒幕。完全な毒親です。しかもミョーに娘を愛してるアピールするのが気持ち悪い。
更に言うと娘の話に耳を傾けず、病気扱いする父親もどうかと。母親が狂いすぎててまだマシなんですけど。
一方、話の出来は非常に良い
奇祭・風習をテーマにしている事は中盤までは明かされず、それまではアストリッドの奇妙なビジョンと過去のイダの足取りを追体験していく構成になっているのですが、そこまでは退屈だったかも。
ただ、事件の真相が徐々に明らかになってきた段階で一気に引き込まれていきます。特にキーパーソンとなるファルケの登場なんかは実に良かったですね。
信じられない母親の行動
物語のキーパーソンとなっているアストリッドとイダの母親、レネ。
彼女の行動によって娘二人はオスタラの物となってしまうのですが、彼女はなんの裁きも受けず、最後まで別れた夫を非難するばかり。
更に、幼い頃のアストリッドが嫌がるのに催眠まで使って無理やり夢の中で失踪したイダを探させようとするシーン、イダが契約によってオスタラに攫われた、それに一役買っていたのはレネ自身という真相が分かってから見ると悍ましくて鳥肌が立ちます。
更に、イダの儀式の際にも参加しており、ほんと何から何までありえない人です……
ありえない位に後味が悪い作品となっているのは、彼女の存在が大きいですね…
主演のダニカ・カーチックの演技がいい
日本ではあまり知られているとは言えない彼女ですが、過去に囚われているアストリッドを見事に演じています。
弱々しくもなく、それでいてどこか狂気を内に秘めているような…そんなダニカ・カーチックの演技が印象的でした。
オスタラの儀式には元ネタがあった
本作で描かれている儀式はウイッカ信仰の春分点を祝う祭りとなっており、実際にウィッカ信仰をされている方はこの時期に祭りを行うのだとか。
エオストレという女神も関わっており、作中の儀式はある程度リアリティがあるといえるのではないでしょうか。
総じて暗いトーンの作品
北欧作品らしい、暗くてどこか報われないラストを迎えるどんよりとしたトーンのドラマでした。
鬱々としてるという感想が一番似合うのでしょうか。私は好きですけど、合わない人にはとことんダメな作風かも。
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