作品情報
作品概要
『最強のふたり』で一躍国外でも知られる名となったオマール・シー主演の本作。
ルパンをテーマにしており、あちこちにそのエッセンスが注入された作品となっています。
制作会社・スタッフ
制作はフランス大手にして、現存する制作会社では最古のゴーモンが勤めています。
監督は『タイタンの戦い』、『インクレディブル・ハルク』でも監督を勤めたルイ・レテリエと、チリ出身で『ナルコス:メキシコ』でも監督を勤めたマルセラ・サイドのお二方です。
配給はもちろんNetflix。オリジナル作品です。
作品評価や海外での反応など
本作はパート1という事で、1シーズンの半分である5話までの配信となっています。
パート2は夏頃の配信になるんだとか。世界情勢もありますが、無事に放映されるといいですね。
なんと、既に7000万回以上も再生された作品になっているんだとか。
フランス、ドイツ、オーストリア、イタリア、スペイン、デンマークだけでなく、カナダ、ブラジル、アルゼンチン、南アフリカでも視聴者数トップの座を奪取しています。
世界で高い評価を得ている作品となっていますね。
登場人物
アサン・ディオプ(演:オマール・シー)
本作の主人公。
劇中の台詞を諳んじる事の出来るほどのルパンマニア。
父であるババカールがペレグリニに嵌められ、殺された事を切っ掛けとして泥棒の道を進む事に。
「怪盗紳士」たるルパンを敬愛し、それに沿った盗みを行う。
ペレグリニ(演:エルヴェ・ピエール)
財界の大物で、アサンが追う人物。
反政府組織や警察といった様々な場所と深く繋がりを持ち、保険金を受け取る為に使用人として働いていたババカールを嵌めた。
ジュリエット(演:クロティルド・エスメ)
ペレグリニの娘。アサンとはかつて良い仲になりかけた。
クレール(演:リュディヴィーヌ・サニエ)
アサンと別居中の妻。
ラウールの母。
ラウール
アサンとクレールの息子。
アサンから『怪盗紳士ルパン』の本を受け継ぐ。
名前はアルセーヌ・ルパンの幼名から。
ゲディラ
刑事。アサンの犯行がルパンを下敷きにした物であると気が付き、彼の足跡を追う。
その過程で捜査班から外されるも、独自行動の末にアサンと接触する事に。
デュモン
ババカールの捜査を担当した警官。ペレグリニと手を結び、ババカールを嵌めた。
現在でもペレグリニと接触している。
アサンによって拉致され、尋問されるも、彼についての事を警察に話そうとしない。
ベンジャミン
アサンの学生時代からの親友で、宝石商兼アサンの盗品を捌くブローカー。
ババカール
アサンの父親。セネガルからの移民。
ババカールによってネックレス泥棒の汚名を着せられた上に刑務所で不審な死を遂げる。
彼がアサンに対して送ったプレゼントである『怪盗紳士ルパン』がアサンのルパン好きの切っ掛けとなる。
あらすじ
怪盗であるアサンはルーヴル美術館にある首飾りを盗むため、ケチな高利貸し達を口車に乗せて協力させつつ、偽名を使ってオークションで競り落とす事に成功。
オークション後に商品を受け取る際に奪って逃げる算段となっていたが、裏切った高利貸し達が首飾りを奪って逃げようとするも、その際に偽物とすり替えていた事で疑われることなく本物の首飾りを持って逃走する事に成功する。ルパンのある作品と同じ手口であった。
それに気がついた刑事のゲディラはルパンの作品を読破し、アサンの後を追うことに。
彼がこの首飾りに拘った理由はただ一つ、財界の大物ペレグリニが25年前にアサンの父であるババカールが盗んだものであると告発し、逮捕させた上にババカールが不審な死を遂げたからである。
父親の死の真相を探るアサンはかつて父が収監されていた刑務所に潜入。そこで父親の残したメモ書きを手に入れる。それはペレグリニの妻が自分を嵌めたという証言であった。
アサンはペレグリニの妻アンを問い詰めた後に、ババカールの捜査を担当していたデュモン警部を拉致、尋問を行う。
デュモンに途中自分の身元を明かしてしまうミスもあったものの、彼とペレグリニが繋がっている事を理解したアサンは更にデュモンに圧力を掛け、ファビエンヌというジャーナリストの名を引き出すことに成功する。
ゲディラは拉致・尋問されていたデュモンが事件について何も語らないことを不信に思い、調査を行う。彼もババカールとペレグリニ、そしてデュモンの関係に気がつくが、捜査から外されてしまう。
一方、ファビエンヌと接触したアサンは彼女からペレグリニがクアラルンプールのテロに関与していたビデオテープの情報を手に入れ、その一部をネット上に流す。
ペレグリニを追い詰める為にテレビ番組に出演し、完全版を放映させようとするも、ペレグリニの圧力により全く違うものにすり替えられてしまった上に、ペレグリニの放った刺客によってファビエンヌの命は奪われる事に。
ペレグリニは更に、アサンの命を狙うように刺客に指示する。
ちょうど息子であるラウールの誕生日であった事もあり、関係の芳しくないクレール・ラウールと三人でルパンの聖地であるエトルタに向かう電車の中で刺客と接触。
警察に連絡を取り、刺客を嵌めて逮捕させる事で難を逃れたように思えたが、再びペレグリニの圧力によって刺客は解放。アサンではなく息子のラウールを拉致する。
ラウールを探し、エトルタを彷徨うアサン。そこで彼は捜査を外され独自に調査を行っていたゲディラと接触する……
感想
中々のスマッシュヒット
いやあ、面白かった!
5話、しかも途中までという事で心配していた部分はあったのですが、それを覆す面白さ!
特に第1話の強盗劇は映画顔負けの緊迫感でした!
これは珍しくしっかりとオススメできるNetflixオリジナルドラマなのではないでしょうか?
主役のオマール・シーがいい
まず目立つのが、主役のアサンを演じるオマール・シーの存在感。
ルパンマニアで、どこか子供っぽい部分を持ちつつも魅力的な、どこかルパンを思わせるような人物を良く演じています。
怪演と言っていいかもしれません。
主役以外はちょっとイマイチ
逆にアサン以外の登場人物があまり目立たなくなってしまうのが悪いところ。
暗躍するペレグリニも、気の弱いおじさんという印象が強く、悪役としては格不足な気がします…
ペレグリニの娘であるジュリエットとアサンとの関係も何かありそう…ではあるのですが、まだそこには至らず。
ちょうどいい尺
Netflixのオリジナルドラマは尺が短すぎたり、変なテンポだったりする事が結構あるのですが、本作はそんな事はありませんでしたね。見事にちょうどな展開でした。
本筋の進む速度やラストのクリフハンガー具合もいい感じです。
社会問題啓発も忘れない
フランス社会の問題である移民や人種問題をさり気なく、しかし話の根幹にはしっかり関わらせているのも良いです。
時代背景をしっかりと描き、説教臭くない程度に問題を伝えている良い塩梅ですね。
難点があるとすれば…
本作の難点を上げるとすれば、ルパンという直球そのものの題名でありながらもアサンはあくまでルパンのフォロワー、アルセーヌ・ルパンという人物とは全く関係がないというところでしょうか。
犯行の手口やトリックは原作であるルパンを下敷きにしているので、全く関係がないとは言えないのですが、血縁者であったりとかそういう事はないので、そこを期待すると肩透かしになるかなと思います。
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