作品情報
簡単な背景解説
今回紹介するのは、『さらば!2020年!』。原題は『Death to 2020』です。
2020年を笑い飛ばすというコンセプトで作られている、架空の人たちがいかにもそれっぽく2020年を回想するという構成のモキュメンタリーショーです。
作品へのリンクはこちらから(要Netflixアカウント)
制作スタッフ
制作に『ブラック・ミラー』のライターが二人参加しているようですね。ただ、監督等はコメディドラマである『Los Espookys』のアリス・マティアス、『Two Weeks to Live 』のアル・キャンベルとなっており、『ブラック・ミラー』要素はそこまで強くは無いですね。
サミュエル・L・ジャクソンやヒュー・グラント、リサ・クドローといった俳優が出演しているようです。
感想
正直、ハズレ気味
ある程度アメリカやイギリスの知識がある上で、コメディドラマが好きな人以外は見なくてもいいかも、というのが正直な感想です。
最初は面白かったけど…
滑り出しは快調でした。EU離脱を行うイギリスや米軍がイラン革命防衛隊の幹部を殺害した事、イギリス王家のお家騒動にコロナ流行、ダボス会議などと時系列に沿って去年のニュースを面白おかしくコケにしています。
ベンチャー企業の社長がダボス会議のグレタ氏のスピーチに感銘を受け、自分用の核シェルターを買ったとか、ヒュー・グラント演じる歴史学者がボリス・ジョンソンを弄り倒したりなど、これは期待出来る!とゲラゲラと笑いながら視聴していました。
あくまでターゲット層はアメリカ
しかし、それも作中の半分まで。
途中からはずーっとアメリカの話。人種問題、トランプネタ、選挙ネタが続きます。しかもトランプ弄り以外はどうにもギャグのキレが悪い印象。
特に選挙関連の話はまったく面白くない。変なおばあちゃんが選挙戦を評して「退屈なクイズショー」と言っていましたが、こっちはそれと対して変わらない気分。
デリケートな問題も
流石に人種問題をコメディとして扱うのは難しい(迷惑系youtuberがデモ活動に便乗して動画を出すネタは面白かったですが)のか、その辺りの話題になるとあまり弄り倒す事無く切なめに進む感じ。
結果として温度差が凄いことに…
現実のトランプの言動の方が…
というか、要所で引用されてるトランプの発言や行動自体が面白い(例としては消毒液でウイルスが死滅する、コロナに感染→復活)のに、それを下手にイジってつまらなくなっているという…
フィクションが現実の方に負けてるという、なんとも言いようのない作品になっているという印象。
選挙関連はもう述べましたが、この程度しかイジれないなら別にさっさと流して良かったのでは…
アメリカ以外の話は無し、当然日本も
更に言うなら、途中からトランプと選挙の話になった事でアルメニアーアゼルバイジャン間の戦争も、欧州のコロナ禍も、香港のデモも、エーゲ海地震も一切語られはしませんし、当然の事ですが日本のあれこれは全く眼中にすらありません。
アメリカ産の番組だから仕方ないんでしょうが、そのフォーカスした部分が面白くないんだからどうしようもないです。サミュエル・L・ジャクソンやヒュー・グラントの無駄遣いですね。
光るものもあるけれど
とは言っても、要所要所で挿入される小話、特にコロナ関連で始まったソーシャルディスタンスや新しい生活様式関連のネタには光る物があったのも事実です。
変なおばあちゃんがテレビ会議での会議に慣れすぎて、現実でも会話途中にフリーズするようになったネタなんかがお気に入りですね。
中々に惜しい作品
なんというか…惜しい印象です。贅沢なキャスト、悪くない構成やキャラ立ちはしているのに、肝心のネタが滑り気味という…
しかも完全につまらないわけではなく、途中途中にはいいネタもあるので余計惜しいなと。
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